遺贈や死因贈与をすると指定されていた財産は、遺産分割協議の対象外でしょうか?

Q.遺贈や死因贈与をすると指定されていた財産は、遺産分割協議の対象外として手続きをしても大丈夫でしょうか?

A.特定遺贈と死因贈与の場合は、対象財産は遺産分割協議の対象外となりますが、包括遺贈の場合には、遺産分割協議が必要です。

「遺贈」とは、遺言者が遺言により行う財産処分のことです。

遺贈は、相続人に対しても、相続人以外に対しても行うことができますが、相続人に対して財産を処分しようという場合には、通常「相続させる」旨の遺言を用いますので、実際に「遺贈」がなされるのは、「相続人以外」に対する財産処分です。

これは、不動産の相続登記をする際に、「相続させる」遺言であれば、遺言により財産を貰った相続人が単独で登記申請ができるからです。

遺贈には、特定遺贈と包括遺贈の2種類があります。

① 特定遺贈

特定遺贈は、「甲不動産をAに遺贈する」 というように、 特定された財産を対象とする遺贈のことです。

特定遺贈は、遺言者の死亡によってその効力を生じ、特定された財産の所有権が受遺者に移転します。

したがって、特定遺贈の対象となった財産は、遺産分割協議の対象外です。

② 包括遺贈

包括遺贈は、例えば「遺産の2分の1をAに遺贈する」 というように、 遺産の全部またはその割合を指定するにとどまり、 目的物を特定しないでする遺贈のことです。

この場合、包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有することになります。

このため一部の割合を包括遺贈された受遺者がいる場合には、相続人と受遺者との間で、遺産分割協議を行う必要があります。

死因贈与

これに対し、死因贈与とは、贈与者(財産を渡す人)と受贈者(受け取る側)の間で、「贈与者が死亡した時点で、事前に指定した財産を受贈者に贈与する」という贈与契約を結ぶことです。

民法第554条は、「贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。」
と規定しており、民法にある死因贈与に関する規定はこの規定のみです。

つまり、死因贈与とは、「贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与」のことです。

死因贈与は、財産の移転に関しては、贈与税ではなく遺贈と同じく相続税の課税対象となります。

このような内容ですので、死因贈与された財産に関しては、遺産分割の対象にはなりません。

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この記事を担当した弁護士

弁護士法人ユスティティア 森本綜合法律事務所

所長弁護士 森本 精一

専門分野

相続、離婚など家事事件、交通事故被害者救済、企業法務

経歴

昭和60年に中央大学を卒業、昭和63年司法試験合格。平成3年に弁護士登録。

平成6年11月に長崎弁護士会に登録、森本精一法律事務所(現弁護士法人ユスティティア 森本綜合法律事務所)を開業。長崎県弁護士会の常議員や刑事弁護委員会委員長、綱紀委員会委員を歴任。平成23年から平成24年まで長崎県弁護士会会長、九州弁護士会連合会常務理事、日弁連理事を務める。平成25年に弁護士法人ユスティティアを設立し現在に至る。

現在も、日弁連業務委員会委員や長崎県弁護士協同組合理事などの弁護士会会務、諫早市情報公開審査委員委員長などの公務を務めており、長崎県の地域貢献に積極的な弁護士として活動している。

相続問題解決実績は地域でもトップレベルの300件を超える。弁護士歴20年以上の経験から、依頼者への親身な対応が非常に評判となっている。

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