実家を残して相続すべきか、それともお金に換える(代償分割・売る)べきなのかわからない。
1 残して相続した場合
取得した相続人が居住する場合は問題ありませんが、居住しない場合は空き家問題となります。
建物の管理や修繕の費用が必要となります。建物の取り壊し費用が必要となることもあります。収益を得ようと賃貸した場合には、建物が古くなればなるほど修繕費用がかかりますし、売却する際に賃借人がいると売却が困難となります。売却できないと子孫に空き家問題を相続させることになりますので、よく考えて判断することが必要です。
また、相続の場合は、不動産取得税はかかりませんが固定資産税の負担が続きます。
不動産が高額な場合、相続税を払えるだけの金融資産が遺産として残されていないと相続税支払のため売却することになります。
2 売却した場合
相続した不動産を売却した場合は、売却して利益が出た場合の「譲渡所得」に課税されます。
「譲渡所得」は次の計算式で算定されます。
譲渡所得=譲渡対価の金額-{取得費(資産の取得価額と取得のために直接かかった費用の合計額)+譲渡費用(譲渡するために直接かかった費用)+取得費加算}
相続してから3年10カ月以内に実家を売却した場合は、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(取得費加算の特例)」に該当し、支払った相続税のうち一定の額を取得費に加算できます。つまり、譲渡所得が安くなり、譲渡所得税も安くなります。
譲渡所得税や住民税は、所有期間が5年を超えるかどうかで税率が異なります。
相続した不動産の取得時期は、被相続人が不動産を所得した時期をそのまま引き継ぐことができます。
所得税 | 復興特別所得税 | 住民税 | |
短期譲渡所得 (5年以下) |
30% | 0.63% | 9% |
長期譲渡所得 (5年超) |
15% | 0.315% | 5% |
さらに、相続した実家に被相続人が居住していたか否かによって、使える税額控除の特例が異なりますので、詳細は税務の専門家にご確認ください。
①取得費加算の特例(居住していない場合も使える)
②居住用財産の3000万円特別控除
③小規模宅地等の特例(相続時)(居住していない場合も使える)
④10年超所有の場合の軽減税率の特例
⑤平成21年、22年に取得した土地などの保有期間が5年以上の場合の1000万円控除
⑥居住用財産の買換え特例
⑦相続空き家の3000万円特別控除(居住していない場合しか使えない)
不動産を売却した場合、売却によって不動産が金銭になりますので、次の相続の際に残った金銭について、額面で課税されます。しかし、金銭として消費しやすくなるので、次の相続まで残っているとは限りません。
実家が売却困難な物件である場合は、早期に売却することも視野に入れて検討すべきです。
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