財産の 使い込み
目次
想定されるケース
被相続人の生前に被相続人名義の預貯金が引き出されている場合,被相続人に無断で権限なく行ったものであるとして,使われた相続人(裁判では原告)が使った相続人(裁判では被告)に対して,不法行為または不当利得に基づく返還請求をするケースを想定してみましょう。
法律構成は?
不法行為による場合>>
不当利得による場合>>
不法行為による場合
①被相続人の預貯金が存在したこと及びそれが引き出されたこと
②被相続人の預貯金を引き出したのが被告であること及び被相続人の預貯金の侵害について被告に故意または過失があること
預貯金の調査
①被相続人の預貯金の存在及び引出の立証のためには,被相続人名義の預貯金の調査が必要です。
法律上の問題点
A説:原告が「被告が引き出し権限を有していなかったこと」を主張立証すべきとの見解
B説:被告が「被告が引き出し権限を有していたこと」を主張立証すべきとの見解
引出権限の有無は裁判の過程の中で明らかになることが多く,立証責任で勝敗が分かれることが少ないことも,両説が存在し,定説がない原因の一つとなっています。
C説 預貯金債権の消滅それ自体が損害,被告の引出により被相続人の預貯金債権が消滅した時点で損害の発生を肯定する
D説 預貯金債権の消滅だけではなく,払戻金の着服,私的流用,被相続人の意思に反する使途への使用などにより被相続人の財産状態に実質的不利益が生じたことが損害発生の要件であるとする
不当利得による場合
① 被相続人の損失(預手預金債権の消滅)
② 被告の利得(被告による払戻金の取得)
③ ①と②との間に因果関係があること
④ 被告に預貯金の引出権限がないこと
を返還請求をする側が主張立証することになります。
遺産分割調停との関係
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当事務所によくお問い合わせいただく相談内容
この記事を担当した弁護士
弁護士法人ユスティティア 森本綜合法律事務所
所長弁護士 森本 精一
専門分野
相続、離婚など家事事件、交通事故被害者救済、企業法務
経歴
昭和60年に中央大学を卒業、昭和63年司法試験合格。平成3年に弁護士登録。
平成6年11月に長崎弁護士会に登録、森本精一法律事務所(現弁護士法人ユスティティア 森本綜合法律事務所)を開業。長崎県弁護士会の常議員や刑事弁護委員会委員長、綱紀委員会委員を歴任。平成23年から平成24年まで長崎県弁護士会会長、九州弁護士会連合会常務理事、日弁連理事を務める。平成25年に弁護士法人ユスティティアを設立し現在に至る。
現在も、日弁連業務委員会委員や長崎県弁護士協同組合理事などの弁護士会会務、諫早市情報公開審査委員委員長などの公務を務めており、長崎県の地域貢献に積極的な弁護士として活動している。
相続問題解決実績は地域でもトップレベルの300件を超える。弁護士歴約30年の経験から、依頼者への親身な対応が非常に評判となっている。