「寄与分」のある相続人に対して,遺留分を主張できますか?

Q.「寄与分」のある相続人に対して,遺留分を主張できますか?

A.主張できます。

1 寄与分とは

寄与分とは、被相続人の財産の維持・増加に貢献した相続人がそれに対する対価や補償を得ていない場合に、その者の取得額を増やして利害関係を調整し、相続人間の公平を図る制度です(民法904条の2)。

2 寄与分が認められる要件

寄与分が認められるためには、被相続人の財産の維持又は増加に対する相続人の「特別の」寄与があること(例えば、家業に関する労務の提供、財産上の給付、被相続人の療養看護〔同条第1項〕)が必要です。

3 寄与分が認められる手続

寄与分は、家庭裁判所における寄与分を定める処分調停又は審判の申立により、遺産分割調停又は審判事件と併合して審理されます(家事事件手続法245条3項、192条)。

4 寄与分と遺留分の関係

寄与分の有無は遺留分に影響しません(民法1044条は民法904条の2を準用していません)。

寄与分は遺留分減殺の対象にはなりませんが(民法1031条で遺留分侵害額請求の対象は遺贈と贈与に限定されています)、家裁審判では遺留分を侵害するような寄与分の決定がなされることは稀です。

この記事を担当した弁護士

弁護士法人ユスティティア 森本綜合法律事務所

所長弁護士 森本 精一

専門分野

相続、離婚など家事事件、交通事故被害者救済、企業法務

経歴

昭和60年に中央大学を卒業、昭和63年司法試験合格。平成3年に弁護士登録。

平成6年11月に長崎弁護士会に登録、森本精一法律事務所(現弁護士法人ユスティティア 森本綜合法律事務所)を開業。長崎県弁護士会の常議員や刑事弁護委員会委員長、綱紀委員会委員を歴任。平成23年から平成24年まで長崎県弁護士会会長、九州弁護士会連合会常務理事、日弁連理事を務める。平成25年に弁護士法人ユスティティアを設立し現在に至る。

現在も、日弁連業務委員会委員や長崎県弁護士協同組合理事などの弁護士会会務、諫早市情報公開審査委員委員長などの公務を務めており、長崎県の地域貢献に積極的な弁護士として活動している。

相続問題解決実績は地域でもトップレベルの300件を超える。弁護士歴約30年の経験から、依頼者への親身な対応が非常に評判となっている。

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