遺言執行者はどういう人を指名するのがおすすめですか?

Q.遺言執行者はどういう人を指名するのがおすすめですか?

A.下記のように説明いたします。

1 遺言執行者とは

遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な手続きをする人のことです。

以下のような遺言の内容を実現する一切の権限を有します。

 相続人や受遺者に対し、自分が遺言執行者になった旨を通知

 遺言者の財産目録を作成し、これを相続人や受遺者に交付

 遺言書の内容にしたがい、財産の引渡、名義変更、各相続人や受遺者へ分配

 その他、遺言書の内容を実現する行為

2 遺言執行者を選任する意味は

遺言内容を確実に執行してもらうためには、遺言執行者を選任しておいた方が安心であるといえます。

3 遺言執行者の権限

民法第1012条は、次のように定めています。

「遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。」

民法第1013条は、「遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。」と規定し、これに違反してなされた行為は無効になります。

遺言書によって相続人以外の人に不動産が遺贈された場合も、遺言執行人と受贈者の署名押印で名義変更手続ができます。

民法第1016条は、「遺言執行者は、やむを得ない事由がなければ、第三者にその任務を行わせることができない。但し、遺言者がその遺言に反対の意思を表示したときは、この限りでない。」と規定し、原則として、遺言執行者が他の人に遺言執行の任務を代わりにしてもらうことを禁止しています。

4 遺言執行者の決め方

遺言執行者を選任する方法は次の通りです。

① 「遺言」で指定

民法第1006条は、次のように規定しています。

「遺言者は、遺言で、一人又は数人の遺言執行者を指定し、又はその指定を第三者に委託することができる。」

 

② 家庭裁判所に申立

民法第1010条は、次のように規定しています。

「遺言執行者が、ないとき、又はなくなつたときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求によつて、これを選任することができる。」

しかし、遺言がある場合に必ず遺言執行者を選任しなければならないわけではありません。

後述のとおり、遺言執行者にしかできないこと(相続人の廃除・廃除取り消し、子供の認知)がありますので、遺言でこれらの記載がなされている場合は、遺言執行者を必ず選任する必要があります。

 

5 遺言執行者として適任は弁護士等の専門家

「未成年者および破産者は、遺言執行者になることができない」(民法第1009条)とされています。つまり、未成年者と破産者以外であれば、誰でもなることができます。

遺言執行者は1人とは限らず、複数指定することも可能です。

しかし、遺言書の執行は財産の名義変更など手続的に煩雑で、法律知識が必要な場合も多いため、不動産などの財産が多い場合には法律知識のある弁護士などの専門家を指定されるのが望ましいと思われます。

また、自然人に限らず法人でもなれますので、当事務所では、弁護士法人を遺言執行者とすることをお薦めしています。

 

6 遺言執行者にしかできないこと

① 相続人の廃除・廃除の取り消し

被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができるほか(民法第892条)、遺言で推定相続人の排除をすることができます(民法第893条)。この場合、遺言執行者が家庭裁判所に廃除の請求をするのですが、この廃除(又は廃除の取り消し)は遺言執行人のみができるとされています。

② 子の認知

認知は、戸籍法の定めるところにより届出によってすることができますが(民法第781条第1項、戸籍法60条、61条)、遺言によってもすることができます(民法第781条第2項)。この場合、遺言の効力発生時に発生し、遺言執行人のみが認知の届け出をすることができます。

 

7 専門家に遺言執行者を依頼する場合の報酬

遺言書に遺言執行者の報酬を取り決めておくことが多いです。特に専門家に依頼する場合には相続人との間でトラブルにならないように被相続人が生前遺産の中から報酬を支払う旨の約束をすることが一般的です。

このときの報酬は、専門家によって異なっていますが、

信託銀行の場合は、相続財産の0.3%(10億円以上分)~2%(3000万円以下分)で最低100~150万円くらいで設定しているところが多いようです。

当事務所では、

遺言執行

 20万円+金融機関法人数×3万円+遺産評価の3%

 但し、単なる不動産の相続登記手続の部分は遺産評価に参入しない。

という費用設定になっています。

 

民法第1018条は、次のように規定しています。

「家庭裁判所は、相続財産の状況その他の事情によって遺言執行者の報酬を定めることができる。ただし、遺言者がその遺言に報酬を定めたときは、この限りでない。」

遺言書に遺言執行者の報酬の取り決めをしていない場合は、家庭裁判所に報酬を決めてもらうことになります。

8 まとめ

遺言書の内容の通りのことを確実に実現するためには「遺言執行者」を遺言で指定することが望ましく、費用がかかりますが、弁護士などの専門家が適任であるといえます。遺言執行者の選任は遺言で指定する以外にも、家庭裁判所へ選任申し立てを行う方法でもできます。

遺言書で「相続人の廃除・廃除の取り消し」や「子の認知」を行う場合、遺言執行者しか手続をすることができませんので、廃除や認知の意思表示をするときには遺言執行者の指定をしておく必要があります。

遺言執行者への報酬は遺言で定められたときはそれにしたがい、定めがなければ、家庭裁判所で定めることもできます。

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