兄弟間で遺留分減殺請求を行使した事例

相談内容

母親が亡くなったため、公正証書遺言によりY1さん(次女)、Y2さん(三男)が母親の所持していた不動産を相続することになりました。長男のX1さん、次男のX2さん、五男のX3さんは自分たちにも遺留分を相続する権利があると知り、Y1、Y2さんに対し遺留分減殺請求の意思表示をしました。
Y1さん、Y2さんからの返答がないので、X1さんらは弁護士に相談し、不動産に遺留分の登記をしてもらうよう裁判で争うこととなりました。

なお、今回の相続法改正で、2019年7月1日以降は最初から金銭請求しかできないことになります。
 

争点

そもそも遺留分を請求できるのか、遺留分の算定において控除すべき問題があるかを両者間で主張しあう形で裁判が進んでいきました。
この事例の場合、以下の3点に焦点を絞り、主張を繰り返していきました。
 
① 別件でZさん(四男)が父親と母親の遺産分割調停を裁判所に申し立てていました。この調停でX1さんらは相続分をZさんに無償提供することで、この調停から脱退しました(Zさんが母親のお金の面倒をみていたため寄与分が認められると判断しました)。Y1さんは、他の遺産の帰属が確定して初めて自己の遺留分がどれだけ侵害されたか確定するところ、自らの意思で譲渡したX1さんらは遺留分制度を行使できないと主張しました。

 

② Y1さんはX3さんが母親から生前贈与を受けていたと言い張りました。実際は生前贈与の話があがっていただけで受け取っていなかったので、両者間で言い争う形となりました。

 

③ 遺留分減殺請求には請求できる期限があります。いつ遺留分侵害の事実を知ったかが問題となり、X1さんらが期限内の請求であることを証明することとなります。こちらも両者の意見が食い違い、両者間での言い争いとなりました。

 

弁護士の提案内容

お互い一歩も譲らず、主張の繰り返しとなったので、裁判所から和解金での和解案の提示がありました。
和解金の算定が遺留分の算定となったため、算定方式を相手方と争いました。
それと同時に、お金どうこうではなく裁判で決着をつけたいというX1さんらに対し、早期解決のため和解で納得してもらえないか説得しました。
 

結果

Y2さんは、裁判外でこちら側が算定した遺留分の金額を支払われたので、裁判は取り下げました。
Y1さんとの間で裁判が残りましたが、Y1さんがX1さんらに、こちら側が算定した遺留分の和解金からいくらか減額した金額を、それぞれ支払うという条件で和解しました。
 

弁護士の所感

①の論点については、算定したところ当初の金額より金額が上がるとの主張をしました。
相手方の②の主張は認められないと思います。③も当方の主張を支える証拠は存在していました。結局、当初の金額からそれほどかけ離れたものではなかったので、早めにY1さんも支払っていただければ解決したのにという感想です。

法律的には
①不動産の評価を固定資産税の倍率という相続税評価を基準にしたこと、
②遺留分の算定基礎となる遺産から、債務は控除されるところ、被相続人の連帯債務がありました。

しかし,この連帯債務については,別の連帯債務者が支払っており,弁済不能の状態にあるため被相続人がその債務を履行しなければならず,かつ,その履行による出捐を主たる債務者訴外功に求償しても返還を受けられる見込みがないような特段の事情が存在する場合ではないので,この債務を含めるのは相当ではないといえます(保証債務に関する東京高裁平成8年11月7日判決・判時1637号31頁参照)。


(平成31年4月15日原稿作成 担当弁護士 森 本 精 一)

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この記事を担当した弁護士

弁護士法人ユスティティア 森本綜合法律事務所

所長弁護士 森本 精一

専門分野

相続、離婚など家事事件、交通事故被害者救済、企業法務

経歴

昭和60年に中央大学を卒業、昭和63年司法試験合格。平成3年に弁護士登録。

平成6年11月に長崎弁護士会に登録、森本精一法律事務所(現弁護士法人ユスティティア 森本綜合法律事務所)を開業。長崎県弁護士会の常議員や刑事弁護委員会委員長、綱紀委員会委員を歴任。平成23年から平成24年まで長崎県弁護士会会長、九州弁護士会連合会常務理事、日弁連理事を務める。平成25年に弁護士法人ユスティティアを設立し現在に至る。

現在も、日弁連業務委員会委員や長崎県弁護士協同組合理事などの弁護士会会務、諫早市情報公開審査委員委員長などの公務を務めており、長崎県の地域貢献に積極的な弁護士として活動している。

相続問題解決実績は地域でもトップレベルの300件を超える。弁護士歴20年以上の経験から、依頼者への親身な対応が非常に評判となっている。

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