遺産分割調停で調停が成立した事例(後妻の子と先妻と子との間の争い)
状況
Aさんは,先妻のBさんとの間に子どもが6人(Y1,D,E,F,G,Y2)あり,Bさんが亡くなったあと,Cさんと再婚,Cさんとの間にX1,X2という子どもがいました。Aさんが亡くなり,Cさん,X1,X2,Y1,D,E,F,G,Y2さんが相続しました。その後Cさんが亡くなって,Cさんの相続分をX1,X2さんが相続しました。 Aさんは,生前にY1さんに不動産を贈与していました。X1,X2,Y1,D,E,F,G,Y2さんの間でAさんの遺産(不動産と預貯金)について争いが生じました。 |
弁護士の関わり
弁護士は,X1,X2さんの代理人となって,遺産分割調停を申し立てました。生前のY1さんへの不動産贈与が特別受益にあたるため,それを考慮した分配を求めました。遺産分割調停の中で,D,E,F,Gさんは,持分をY1,Y2さんに譲渡して,調停から脱退しました。
調停期日を重ねた結果,不動産の1つをX1,X2,Y2が,不動産の一部をX1,X2が,不動産の一部をY1,Y2が,預貯金をY1が,代償金としてY1,Y2がX1,X2に約250万円を支払う,Aさんの遺骨,位牌をX1,X2が引継ぎ供養するという形で調停が成立しました。
補足
調停の当初から,相続税評価額を基準にして不動産及び特別受益の金額を算定し,申立人の希望する分割方法を提案しました。相手方は不動産の一部について,不動産業者の評価を提出してきましたが,それ以外については,価額について争いはありませんでした。
相手方からは,寄与分の申立がありましたが,申立人はこれを否認,最終的には,考慮されることはなく,途中で裁判官から調停案が提示され,それを叩き台にして,再度調整を図り,調停が成立しました。調停を申し立ててから調停成立するまでは約2年間かかっています(相手方は最初本人で,途中から代理人を選任しました)。
遺産分割調停は本人でも話し合いをすることが可能ですが,遺産が多い場合や法律上の争点がある場合等は代理人を選任することが早く議論を整理できて円滑な進行が可能になると思われます。
不動産の1つをX1,X2,Y2が取得することになっていますが,これはその土地が道路に取られ,補償金が入るからで,利害の対立する申立人と相手方が共有持分にすることに支障はありませんでした。
Aさんの遺骨,位牌をX1,X2が引継ぎ供養するという祭祀承継の条項があります。感情的な対立もあって,このような形で収束しました。
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