遺産相続した不動産を売却したら、弟から売却代金の半額を請求された事例
相談内容
相談者Xさんは母親が死亡したので、弟のYさんと母親所有の不動産をどちらが相続するか遺産分割協議をしました。
ずっと高齢の母親の面倒をみていたXさんが相続することになり、その時はYさんも快く遺産分割協議書に押印しました。しかし、その後Yさんから執拗なお金の要求が続くようになりました。
そこで、XさんはYさんに1000万円を支払う旨の書面を交わしました(ただし、この文書の控えは持っていませんでした)。
Xさんは、この不動産を売却することにしました。
不動産を売却して引っ越した後、いきなりYさんが、売却代金の半額を支払う約束があったからその分を支払えと弁護士を通じて請求してきました。
困ったXさんはここで弁護士に相談することにしました。
争点
XさんはYさんに対して1000万円支払うという旨の書面を交わしているが、不動産を売却した場合半額を支払う旨の合意があり、その分を支払わなければいけないのか。
弁護士の提案内容
書面で1000万円支払うと交わしているので、1000万円は支払わざるをえないが半額(1000万円の3倍以上の金額です)を支払う旨の合意がないと言ってYさんの要求を拒否しました。
結果
早期解決を前提に書面で交わした額の1000万円を支払うことで早期に和解解決しました。
弁護士の所感
当初の合意は何だったかというと、Yさんは何もいらなかったのだと思いますが、だんだんエスカレートしていったようにも思います。Xさんの立場からは不要な書面は書かなければ合意はなかったものということになりそうです。Yさんの立場からは最初から自分の思い通りの合意文書を交わしてから遺産分割すればよかったので、分割した後から言っても遅出しジャンケンの印象があります。
この記事を担当した弁護士
弁護士法人ユスティティア 森本綜合法律事務所
所長弁護士 森本 精一
専門分野
相続、離婚など家事事件、交通事故被害者救済、企業法務
経歴
昭和60年に中央大学を卒業、昭和63年司法試験合格。平成3年に弁護士登録。
平成6年11月に長崎弁護士会に登録、森本精一法律事務所(現弁護士法人ユスティティア 森本綜合法律事務所)を開業。長崎県弁護士会の常議員や刑事弁護委員会委員長、綱紀委員会委員を歴任。平成23年から平成24年まで長崎県弁護士会会長、九州弁護士会連合会常務理事、日弁連理事を務める。平成25年に弁護士法人ユスティティアを設立し現在に至る。
現在も、日弁連業務委員会委員や長崎県弁護士協同組合理事などの弁護士会会務、諫早市情報公開審査委員委員長などの公務を務めており、長崎県の地域貢献に積極的な弁護士として活動している。
相続問題解決実績は地域でもトップレベルの300件を超える。弁護士歴約30年の経験から、依頼者への親身な対応が非常に評判となっている。
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