故人の預金を解約したいが相続人の中に行方不明者がいたという事例
事案概要
姉が亡くなったが,その姉には子どもがおらず両親も亡くなっていたため,姉の遺産を兄弟姉妹で相続することになった。しかし,兄弟姉妹の中に約20年音信不通となっている人がいた。
このような状況で,遺産である姉の預金を解約したいという相談があった。
そこで,当事務所において,音信不通となっている相続人について失踪宣告の申立てを行い,失踪宣告を受けた上で,その他の相続人全員で遺産分割協議を行い預金を解約した。
弁護士の関わり
故人の預金の解約は,原則として相続人全員で行わなければなりません(預金額が小さい場合には相続人の一部での解約に応じることもあるようです。)。
しかし,相続人の中に行方不明者がいる場合にはその人の協力を得ることができません。
このような場合には,裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てる,または「失踪宣告」を申し立てる方法が有効です。
「不在者財産管理人」とは,行方が分からなくなっている人の財産を管理する権限を裁判所から与えられた人のことをいいます。今回のケースで不在者財産管理人が選ばれれば,その人が行方不明者の代わりに遺産分割の話合いに参加することになります。
「失踪宣告」とは,生死が7年以上不明になっている人(船舶の沈没や震災などの危難に遭ったときは危難が去ってから1年以上生死不明の人)について,法律上死亡したという扱われる制度のことです。今回のケースでは,約20年もの長期にわたって音信不通であったこと,住民票も職権消除されていたことから,失踪宣告の制度を使うこととしました。
その結果,行方不明者を法律上死亡したものと扱うことができるようになり,行方不明者以外の相続人だけで遺産分割協議を行うことができました。
相続解決事例の最新記事
- 遺留分減殺請求(現遺留分侵害請求)を行った事例
- 遺留分として1億超えの金額を請求されたが最終的に約1000万円で和解をしたケース
- 使途不明金の照会について,早期に調停に移行したことで、和解で解決できた事例
- 相手方の主張が変わらないことから、早期に調停・審判へ移行したことで、1年以内に解決し、無事自宅不動産を得ることができた事例
- 一人に全財産を相続させる遺言がされたが、弁護士が遺留分侵害額請求で希望額を獲得した事例
- 預貯金の使用や動産の処分費用などの複雑な遺産分割を、弁護士が争点を単純化し、約3000万円相当の遺産を獲得した事例
- 親の介護をしていたので一定割合の寄与分を認めてもらい、遺産のすべてを相続した事例
- 遺産相続した不動産を売却したら、弟から売却代金の半額を請求された事例
- 遺留分侵害額請求を行使し裁判で遺留分を認めてもらった事例
- 兄弟間で遺留分侵害額請求を行使した事例
- 遺産分割調停で調停が成立した事例(立替払いした分が寄与分として認められた事例)
- 遺産分割調停で調停が成立した事例(後妻の子と先妻と子との間の争い)
- 遺産分割審判になった事例(寄与分及び特別受益の持ち戻しを認めた事例)
- 遺産分割審判になった事例(寄与分が認められた事例)
- 遺産分割審判になった事例(後妻と先妻との間の子との争い2)
- 遺産分割審判になった事例(後妻と先妻との間の子との争い)
- 当方が主張する贈与契約の不存在が裁判で認められた事例
- 死後3ヶ月以上経過した後に相続放棄を受理してもらった事例
- 父が後妻に遺産を全てやるという遺言をしていたため前妻の子Jさんらが裁判をした事例
- 法定相続分についての貯金を訴訟をして受け取ったFさんの事例